口紅を塗るとき、あなたは筆を使いますか?それとも、スティックのまま直接唇にのせますか?
私は、ずっと後者でした。理由はシンプルで、「めんどくさいから」。
だからこそ、細身の口紅を選ぶことが多く、さっとひと塗りで済ませるのがいつもの習慣です。
忙しい日が続くと、そんなひと塗りすらおろそかになり、気づけばリップが剥げかけたまま打ち合わせに向かうことも。
さらに、この時期はマスクをすることも多く、化粧直しのタイミングを逃してます。
そもそも、自分の顔は鏡を見なければ確認できないから、多少崩れていても気づかないことの方が多いのです。
そんな私が、ふと口紅を塗りながら鏡をじっと覗き込んだ日がありました。
いつも通り、直接口紅を滑らせていると「なんだか雑だなぁ」と思ったのです。
いつもポーチに入れっぱなしの紅筆が目に入り、久しぶりに使ってみることにしました。
筆を手に取り、口紅をそっと含ませる。
口紅を優しく溶かすように筆に含ませていくその動作だけで、特別なことをしている気分になります。
ゆっくりと唇にのせると、いつもの塗り方とは違い、輪郭が整い、口元に品が宿る気がしました。
そして、このひと手間をかけるプロセス自体が、贅沢な時間に感じられたのです。
「自分を大切にする」
とは、特別なことをするわけではなく、こうした小さな所作の積み重ねなのかもしれませんね。