同じ600円なのに、中身は5倍違いました ブランディングのコツ

2026/08/24

「道の駅最強ランキング全国1位」に選ばれたスポットへ行ってきました。

場所は京都と奈良のあいだ、京都府唯一の村・南山城村。

道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」です。


わざわざ足を運んだ理由は、ミーハー心半分、商売人の下心半分。

私自身もお茶を扱っているので、「お茶をテーマにした道の駅」がどう売り、どう人を集めているのかを、どうしても自分の目で確かめたかったんです。

 

 

道の駅がいま「目的地」になっている

私はゴールデンウィークに、地元・嬉野の道の駅でお茶を売っていました。

そこで気づいたのは、お客さまが「通り道」ではなく「目的」として来ていること。

スタンプラリーの台紙を持って「スタンプどこですか?」と聞かれ、話を聞けば「休みの日に主人と九州の道の駅を回って、おいしいものを食べてるんです」と。

 

子育てを終えた大人世代にとって、道の駅はもう立派なレジャーなんですね。

しかも南山城村にはマリオット系のホテルが隣接していて、土地開発ごと一体で進んでいる。

食べる場所がある、停める場所がある、泊まれる場所もある。

「近場で、手軽に、おいしいものを」という今の消費スタイドにぴったりはまっています。

 

(正直、この村に何人が泊まるんだろう……という疑問は残りましたが、それはまた別途調べます。)

 

一煎パックが、うちの3倍以上で売れていた

コーヒーのドリップパックのような、10センチ四方の一煎パック。

うちの実家では150円で売っています。

一杯ぶんだし、まあそんなものだろう、と思っていました。

 

南山城村では、500円でした。

 

品質が3倍以上いいわけではありません。違ったのは、パッケージと、そこに書かれた言葉。

「希少性」「一番茶」「縁起物」。

「縁起物」は品質の話ではありません。

最初に摘まれたお茶、という事実に、意味を与えただけなんです。

事実は変えず、解釈を足す。これが値づけというものなんですよね。

 

もっと衝撃だったのが粉末茶です。

うちは30gで600円。あちらには2種類あって、20gと100g、どちらも600円。

容量は5倍違うのに、同じ値段。

20g600円の粉末緑茶

100g 600円の粉茶

20gのほうは、上品で歴史を感じさせるデザイン。「急須いらず」「水でもお湯でも」と書かれ、明らかに職場へのお土産の顔をしています。

100gのほうは、ジップロックの細長いような袋に生産者名のシールが貼られただけ。こちらは家のお茶が切れたから買って帰るの顔。

 

同じ粉末茶でも、きれいな袋に入れれば価値は5倍になり、透明な袋に入れれば5分の1になる。中身が同じでも、袋が売り先を決めているわけです。


ちなみに、三根若葉園の粉末緑茶は。

 

 

ソフトクリームは、土台を借りて主役だけ自前

名物の村抹茶ソフト、1個600円。最高品種の緑茶を使っていて、たしかにおいしい。

 

でも実は、日本のソフトクリームの多くは日世(にっせい)さんが手がけています。

あの男の子と女の子のキャラクターの看板、見たことありますよね。

ここのソフトも同じで、緑茶を持ち込んでオリジナル開発されたものです。

うちの会員さんでカフェをされている方も、

「北海道の生乳で」

「もう少しさっぱりめに」

などとオーダーしてオリジナルを作っていらっしゃいます。

 

つまり、「おいしさの土台」はプロから借りて、自分は村のお茶という一点だけを乗せている。

全部を自力で作らなくていい。

差別化すべき一点はどこか、それ以外は誰に任せるのか。

ここの見極めが本当に上手だなと思いました。

 

大阪から1時間半。京都唯一の村、見渡すかぎりの茶畑、その真ん中で食べる抹茶ソフト。

「せっかくここまで来たんだから」と財布がゆるむあの瞬間まで含めて、全部がひとつの物語としてつながっている。

突出した一点で勝つのではなく、体験の総和で勝ちにきているんです。

 

だから逆に言えば、私たちの商売にも希望があります。

世界一の品質でなくても、物語と見せ方で選ばれる道はある、ということですから。

 

ブランディング、ストーリー作りについて改めて考えさせられた経験でした。