人は、自ら未来をデザインし、生きたい命を生きられる。
そんな言葉を体感したのが、大阪万博の「いのちの未来館」でした。
石黒浩教授の言葉との再会
10年ほど前、大阪大学の石黒浩教授の講演を聞いたことがあります。
そのときに投げかけられたのが
「人は何に対して、生きていると感じるのか」
という問いでした。
当時、教授は桂米朝師匠のアンドロイドを開発されていて、
「直接お会いしたことがなくても、アンドロイドが目の前で語れば、そこに米朝師匠を感じるのではないか」
そんなお話をされていたと記憶しています。
人は何をもって「生きている」と感じるのか。
私はその言葉をずっと心のどこかに残していました。
万博で出会ったマツコ・デラックスのアンドロイド
そして今回の万博。
目の前で語りかけてきたのは、マツコ・デラックスのアンドロイドでした。
私はマツコさんに直接会ったことはありません。
それでも、不思議なことに、アンドロイドが話す姿を見ていると「マツコがそこにいる」と感じてしまうのです。
声や仕草、目線の動き。
その一つひとつに「生きている気配」を感じる瞬間がありました。
いのちを感じるということ
いのちの未来館は、ただの展示ではなく、私たちに問いを投げかける場所です。
「人はどこで命を感じるのか」
「テクノロジーが発達する中で人の命の意味は。生きているとは」
未来を考える万博で、私は過去に聞いた言葉と再びつながり、心の奥にしまっていた問いを呼び覚まされました。
テクノロジーがどんなに進化しても、人が求めるのは「生きていると感じられる瞬間」。
それはリアルな出会いにも、アンドロイドやAIとの体験にも宿るのかもしれません。
万博を訪れて、私はあらためて「生きること」を考えさせられました。
未来はまだ見ぬ遠い世界ではなく、今、この瞬間の選択の延長にある。