人脈は探すものではなく、会う理由をつくった人に集まる

2026/08/03

起業したばかりの頃、私には人脈というものがほとんどありませんでした。

交流会に行っても、名刺を交換して、その日は盛り上がって、それで終わり。

「あの社長、もっとお話ししたかったな」と思いながら家に帰る、あの微妙な余韻。

心当たりのある方、けっこう多いんじゃないでしょうか。

 

そこで私が始めたのが、インタビュー企画でした。

 

「会いたいです」は言いにくい。でも「取材させてください」は言える

わくらくのサイトの中に、「女性社長インタビュー」というコーナーを作ったんです。

作ったというより、まずは名前をつけた、という感じですね。

 

そして、この人に会いたい、この人の話を聞きたいと思う女性社長にアポを取る。

「うちのサイトで女性社長インタビューというコーナーを持っているんです。

ぜひ○○社長をご紹介させていただきたいので、お話を聞かせていただけませんか」と。

 

これ、不思議なくらい会えるんですよ。

「会いたいです」だけだと、お互いに用件がなくて気まずい。

でも「取材させてください、うちのサイトで紹介します」なら、相手にもちゃんと持ち帰るものがある。

会う理由を、自分でつくってしまえばよかったんです。

 

インタビューという建前は、質問の免罪符になる

そしてここが本当にありがたかったのですが、インタビューという前提があると、かなり踏み込んだ質問ができるんですね。

 

どんな思いで起業されたんですか。

しんどい時はどう乗り越えられたんですか。

営業ってどうやって広げていかれたんですか。

今、何に悩んでいらっしゃいますか。

 

普通に雑談していたら、こんなことグイグイ聞けません。

でも取材なら聞ける。しかも相手も、記事になると思うと本気で答えてくださる。

尊敬する社長さんが、どうやって事業を広げてこられたのか。

そのノウハウをこっそり教えていただく時間になっていました。

起業当初の私にとって、これ以上の学びの場はありませんでした。

 

そしてインタビューが終わると、「今度ランチ行きましょうよ」という流れになる。

自分の仕事の話もしているので、後日「こんな案件があるんだけど」とご連絡をいただくこともありました。

会いに行く方法だったものが、いつのまにか関係を育てる方法になっていたんですね。

 

書いた文章の量は、色々なご縁に効いてくる

インタビューをしたら、当然それを文章にします。

当時はノートに手書きでブワーッと書き起こして、相手のサイトを読み込んで、AIなんて影も形もない時代ですから、全部人力です。

 

この人の魅力はどこにあるのか。

それをどう言葉にして、読む人に届けるのか。

今の私の文章力は、あの頃に鍛えられたものだと本気で思っています。

 

そうして書き続けていたら、あるご縁から産経新聞さんに「コラムを書きませんか」と声をかけていただきました。

「癒されタイム」という、癒しにまつわる小さなコーナーを週1回担当させていただいたんです。

 

嬉しかったのはもちろんですが、それ以上に嬉しかったのは、「やります」と即答できた自分がいたことでした。

インタビューを重ねてきたから、書けると思えた。

チャンスって、たいてい準備が終わる前にやってくるので、あのとき地味に積み上げていたものに救われました。

 

その後、10年ほど前には女性経営者10人のインタビューをまとめた電子書籍『ライフワークで幸せ仕事術』を、さらに30人にインタビューした本も出しています。

あの「サイトにコーナーの名前をつけただけ」が、本になるところまで来たわけです。

 

今の時代なら、どうする?

同じことを今から始めるなら、私はやっぱり「自分のメディアを一つ持つこと」をおすすめします。

SNSのアカウントでもいい、YouTubeやポッドキャストのチャンネルでもいい、ブログでもいい。

どこか一つ、自分の発信の場があると、それだけで「紹介させてください」と言えるようになります。

 

インスタライブのコラボをお願いするのも、あの頃のインタビューとほとんど同じ構造ですよね。

相手の時間をもらうかわりに、相手の魅力を届ける。

そういうフェアな交換になっているから、堂々とお願いできるんです。

 

人脈は、探しに行くものじゃなくて、会う理由をつくった人のところに集まってくる。

肩書きも実績もなかった私が、唯一やったのはそれだけでした。

 

もしいま、「あの社長にもう一度会いたいけど、口実がない」と足踏みしている方がいたら。その口実、自分で作ってしまいましょう。