「寄付って、余裕ができてからするもの」
そう思っていませんか?
私は起業したばかりのお金がない時期に寄付をはじめました。
むしろ余裕がないからこそ、始めてよかったと、20年経った今でも心からそう思っています。
起業したばかり、預金が減り続けていたあの頃
起業してすぐの頃、経営者の先輩からこんなことを言われました。
「寄付、した方がいいよ。」
売上は全然上がらない。預金はじわじわ減っていく。
そんな状況で「え、今?」と思いましたよ(笑)。
でも、その先輩だけじゃなく、当時私がお世話になっていた起業長屋の女将も、アフリカの子どもたちを支援するチャイルドスポンサーのプログラムをやっていらして、子どもから届いたはがきや写真を嬉しそうに見せてくれたんです。
「実はちょっといいことしてるのよ」って顔で(笑)。
立て続けに、自分が尊敬する人たちが同じことをやっていた。それが決め手でした。
「よし、私もやってみよう。」
当時、月3,000円から始められるプラン・ジャパンのチャイルドスポンサーシップに申し込みました。
今からちょうど20年前のことです。

「月3,000円の寄付を続けられる人間でいよう」を、励みにした
正直、苦しかったです。強制的にクレジット引き落としされる仕組みだから、逃げられない(笑)。
でも、そこがミソでもありました。
「これを払い続けられる自分でいよう」が、私の小さなプライドになりました。
そしてもう一つ、こんなルールを自分に課しました。
売上が上がったら、寄付額を1,000円ずつ増やしていく
寄付の金額が、自分のビジネスのバロメーターにもなっていったんです。
7〜8年前、もう一つの「寄付先」との出会い
大阪を拠点に活動していると、あるNPOの代表の講演を聞く機会がありました。
認定NPO法人D×P(ディーピー) の今井紀明さんです。
D×Pは、大阪の「生きづらい10代」を支援する団体。
家計を助けるためにアルバイトしながら高校に通う子、家に帰れない事情を抱えた子、そういった若者たちに食料を届けたり、難波に居場所(ユースセンター)を作ったりする活動をされています。
講演を聞いて、正直ショックを受けました。
「そんな高校生が、すぐ近くにいるんや……」
私自身、決して裕福ではなかったけれど、家があって、ご飯を食べて、高校も大学も行かせてもらえた。
それがどれほど恵まれていたか、改めて気づかされました。
だから、できることから始めようと思い、D×Pへの寄付もスタートしました。

寄付を始めたら、「世の中のアンテナ」が立ってきた
寄付を始めると、その団体のことが気になってくるんですよね。SNSをチェックする。
活動報告書を読む。すると、今まで見えていなかった「世の中の現実」が見えてくる。
困っている人は、何に困っているのか。行政にはどんな支援策があるのか。
でもその支援策が、必要な人に届いていない現実がある。
そういうことを、肌感覚で知ることができるようになりました。
経営者として大切なのは、「世の中を知ること」だと思っています。
マーケットを知ることも、もちろん大事。
でも、社会の実態を知ること、生活者の痛みを知ることは、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、ビジネスのヒントになる。
寄付することで、そのアンテナが自然と立ち上がってくるんです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」――寄付は、めぐりめぐって自分に返ってくる
先日、大学の後輩がユニセフの活動で私の事務所の前にいたんです。
少し話して、私はこんなことを言いました。
「寄付って、人を助けてるようで、最終的には自分に返ってくるよね。」
たとえば、D×Pが支援した大阪の高校生が、十分な教育を受けて、誰かに助けられた経験を持って、大人になる。
すると「困っている人を助けよう」という気持ちが育まれる。
逆に、支援がなかったら心が荒んで、治安が悪化するかもしれない。
治安が悪くなれば、私たちの生活にも跳ね返ってくる。
アフリカの子どもたちへの支援だって同じです。
ワクチンや清潔な水で生き延びた命が、その地域の経済を動かし、産業を育て、やがて世界経済の一部になっていく。
「風が吹けば桶屋が儲かる」じゃないけれど、小さな善意の連鎖が、めぐりめぐって自分の安心とハッピーにつながっていく。
私はそれを、20年かけて実感しています。
「やめる」という選択肢は、私の中にない
一度始めた寄付をやめることは、私のプライドが許しません(笑)。
だから私には「続けるか、増やすか」の二択しかない。
それが、逆に自分を励ます仕組みになっています。
寄付額が増えるということは、それだけ売上が伸びているということ。自分の成長の証でもあるから。
お金を出すだけが、支援じゃない
D×Pさんがこんなことをおっしゃっていました。「情報をシェアするだけでも、支援になります」と。
だから今日、こうして書いています。
寄付するかどうかは、ひとまず置いておいて。
まず、こんな世界があることを知ってほしい。そして、もし「面白そう」と思ったら、のぞいてみてください。
与えることは、受け取ること。 20年続けて、私はそれを確信しています。