デジタル全盛の時代に、紙媒体「わくらく通信」を送り続けている理由
2026/08/11わくらくでは年4回、「わくらく通信」という広報誌を発行しています。
紙に印刷して、封筒に入れて、切手を貼って、郵便で送る。この令和にです。

もうすぐ75号。年4回ですから、かれこれ17〜18年。
よく続いたなあと自分でも思いますが、続いているのには理由があります。
「形のないもの」にお金を払う怖さ
始まりは、あるマーケティングの方への相談でした。わくらくをもっと伸ばしたい、何をしたらいいでしょう、と。
返ってきた答えが、
「会員さんは、コミュニティという形のないものに会費を払ってくれている。その会費が何に使われているのか、目に見えるものがあったらいいよ」。
そして、「紙のニュースレターを送ったら喜ばれると思う」。
17、18年前といえば、PDFで資料を送るのがようやく当たり前になってきた頃です。
時代は軽やかにデータへ向かっているのに、こっちは印刷ですか、と。
しかも紙にするとなればデザインもきちんと整えなければいけないし、郵送コストもかかる。
おまけに封入して宛名シールを貼って……という作業だけで半日仕事です。
でも私、伸び悩んでいるときは「うまくいっている人の言うことは、とりあえずやってみる」というスタイルなんです。
理屈で納得してから動いていたら、たぶん一生始まらなかった。というわけで、発行しました。
郵便受けに届くことが新鮮
送ってみたら、思った以上に喜んでいただけました。
「届きました!」
「今回のコラム、あの部分が染みました」
と、わざわざ感想をくださる方が何人も。
考えてみれば、いま郵便受けに入っているのは、たいてい見知らぬ会社のDMです。
自分が所属しているコミュニティから、自分宛てに届くもの。
この希少性が、いつのまにか価値になっていたんですね。
デジタルが混み合った結果、アナログのほうが空いていた、というだけの話かもしれません。
いちばん意外だったのは、ご主人の反応
そして、まったく想定していなかった効果がありました。家庭内での信用が上がることです。
「わくらく通信、うちの主人と一緒に読んでます」とおっしゃる方が、けっこういらっしゃる。
PDFで届いたデータを、家族と共有することってまずないですよね。
よほど感動したとか、これは絶対に見せたいとか、そういう強い動機がないかぎり、データは自分の画面の中で完結してしまう。
でも紙は、テーブルの上に置いておくだけで勝手に読まれる。
この「置いておける」という機能、デジタルにはないんです。
わくらく通信はA4の4ページ。さらっと読める分量です。
ここに紙面の工夫がひとつあって、4ページのうち私が書いているのは2ページだけ。
残りは会員さんの特別コラム、キャリアコンサルタントの方の連載、ビジネスパートナーの穂口さんによるマーケティングコラム。
合計4人で書いています。書き手が変われば話題も変わるので、飽きずに読めるんですね。
すると、ご主人の中に「わくらくって、ちゃんとした団体らしい」という理解が少しずつ積み上がっていく。
奥さんが
「新年会に行ってくるわ」
「夜の懇親会があるねん」
と出かけるときに、「いってらっしゃい」と気持ちよく送り出してもらえるようになる。
女性が事業を続けていくうえで、家族の協力はどうしても必要です。
でもご主人からすれば、奥さんが通っている場所は中身が見えない。
しかも会費を払っている。最低でも月5500円ですから、決して小さくない金額です。
「そこ、大丈夫なん?」と思われても無理はありません。
でも、年に4回、紙が届くことでご主人にもわくらくのことを知ってもらうことができました。
送る側にも、ちゃんと得がある
運営側のメリットもあります。郵便物を送るということは、住所を把握しているということ。
つまり、実在する方だとわかる。決済もきちんと通っている。
匿名の誰かが紛れ込む余地がない、という証明にもなっているんです。
安心して集まれる場は、こういう地味な仕組みの積み重ねでできています。
実は海外にお住まいの会員さんもいらっしゃって、さすがに「そこまで送る?」と一瞬思うのですが、送るとものすごく喜んでくださる。
距離が遠いほど、メールでサッと済ませたくなるのですが、遠いからこそ届く重みがあるのかもしれません。
手書きのひとことを添えて送っています。
ご入会時にはちょっとした入会プレゼントも。
以前はわくらくオリジナルのエコバッグをお渡ししていました。
行動カレンダーのワークシートも紙で印刷してお送りしています。
こういう小さな気持ちのやりとりが、けっこう効くんです。
効率のいい選択が、いい選択とはかぎらない
半日かけて封入作業をしていると、「これ、PDFなら3分やな」と何度も思います。実際そのとおりです。
でも17年やってみてわかったのは、手間をかけたぶんが、そのまま信頼として返ってくることがある、ということ。
効率化していいものと、してはいけないものがある。
その線引きを見極めるのが経営ですね。
わくらく通信が気になるという方、本町にお越しいただければいつでもお渡しできます。



